首頭痛の予防や対処法~首頭痛の主な原因と治療法について

首の付け根や後頭部に生じる『首頭痛』に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
日本人の多くは慢性の頭痛に悩まされており、あまりに身近な存在であるために、それほど重要視されていないことがあります。
しかし首頭痛を引き起こす原因の中には、神経を圧迫して生じるようなものや命を脅かすようなものも潜んでいるために、軽視せずに注意することが大事です。
ここでは私たちの暮らしの中に多く現れる首頭痛について詳しくお伝えしていきます。
Contents
首頭痛の症状について
後頭部や首の付け根にかけてみられる「首頭痛」は、ズキズキ痛むようなものから、激痛に襲われるもの、瞬間的な痛みが生じるものなど、さまざまな症状がみられます。
またすぐに症状が治まるものもあれば、治療しなければ症状が治まらないような危険性の高いものも含まれます。
自身に生じる痛みがどのようなものなのか、しっかりと理解しておくことが大事です。
首頭痛に多くみられる症状について
「首頭痛」は、後頭部から首の付け根にかけてひどい痛みに悩まされることや、後頭部の左右の片側だけズキズキと痛む症状が多くみられます。
痛みだけではなく、頭を締め付けられているような感じがする場合もあります。
月に何度も起こることがありますし、決まった時間に起こるようなこともあります。また季節によって多く起こることもあれば、瞬間的にだけ痛みが生じることもあります。
さらに言えば、落雷が頭に落ちたような強烈な痛みが生じることや、高熱や嘔吐を伴って激しい頭痛が起こるようなものもあります。
このように首頭痛は、痛みの頻度や強弱によって症状が変化するものであり、その症状によって治療法や対処法は異なります。
市販の頭痛薬(鎮痛薬)を飲めば症状が治まるようなものも多いですが、すぐに治療しなければならない緊急性の高い頭痛もあります。
そのため「よく起こる頭痛だから」と軽視するのではなく、十分に注意が必要なのです。
「月経痛」の症状を知ろう
生理前や生理中にかけて首頭痛に悩まされる女性は少なくありません。
この頭痛は片頭痛であることが多く、女性ホルモンのバランスが崩れることによって生じずる頭痛であると考えられています。
この時期の女性は、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが急激に減少し、血液中の濃度が低下することが知られています。
このエストロゲンの低下によって、片頭痛を誘発させる原因となってしまうのです。
また似た症状に月経前症候群(PMS)や月経痛があります。
月経前症候群(PMS)とは月経前に起こる不調のことで、頭痛が生じることもあり、若い女性に多くみられます。ホルモンバランスの乱れが原因であり、生理がはじまると症状が軽くなる特徴があります。
月経痛とは、生理前や生理中にかけて子宮の収縮によって生じる不調で、下腹部や腰の痛みが多く、頭痛を伴うこともあります。
女性ホルモンがしっかりと分泌され、きちんと排卵が起きていることによるものです。月経周期や症状を記録しておき、その周期にあわせて心身を整えていくようにしましょう。
首頭痛の主な原因

首頭痛にはさまざまな原因が考えられ、首周辺の筋肉の緊張によるもの、血管の収縮によるもの、神経を圧迫するものなどがよくみられます。
またそれだけではなく、脳内の出血によるものやウイルスや細菌の感染によるものなどが原因となることもあり、症状によってはすぐに治療しなければ命にかかわるようなものもあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛とは、後頭部から首の付け根にかけて圧迫感を感じたり、じわじわ痛んでくるような症状がみられる頭痛です。
ズキズキと痛むようなことや、寝込まねばならないような重い症状がみられることはありません。また吐き気や嘔吐を伴うようなこともありません。
緊張型頭痛には「反復性」と「慢性」の2種類があります。
反復性緊張型頭痛は、同じ体制や悪い姿勢などによって首や肩の筋肉を緊張させてしまうことによって生じるもので、筋肉の血流が悪くなることから頭痛を引き起こします。
慢性緊張型頭痛は、不安や心配事などストレスによって生じるものであると考えられています。
緊張を解きほぐすことが大事であり、温めたり、ゆっくりと入浴することによって症状を抑えることができます。
片頭痛
片頭痛は、こめかみや目に生じることが多く、主に片側ですが両側に症状が現れることもあり、後頭部が痛みに襲われるようなこともあります。
ズキズキと心臓の鼓動にあわせて痛むことが多く、痛みがはじまると音や光に敏感になってしまいます。
痛みが強い時には吐き気や嘔吐につながることもあり、痛みによって仕事や勉強、家事などに支障をきたしてしまうこともあります。
10代といった若い世代に多くみられ、毎週の週末や月に何度も頭痛に悩まされているという方も少なくありません。
はっきりとした原因は解明されていませんが、血管の収縮や拡張、脳そのものの原因、三叉神経の影響によるものなどが原因として考えられています。
痛みが生じた場合には、患部を冷やすようにして、静かな場所でゆっくりと休むことが適切な対処法です。
日頃から生活習慣を大切にし、ストレスをためない健全な生活が大切です。
後頭神経痛

後頭神経痛とは、後頭部周辺の筋肉や神経を圧迫することによって生じる頭痛であり、姿勢不良や過度のストレスが原因であると考えられています。
後頭部や首の付け根、耳の後ろなどに痛みが生じますが、その痛みが瞬間的であり、痛みが長く続くことはほとんどみられません。
場合によっては頭頂部や頭の前方に痛みが生じることもあります。
急に強い痛みが生じますが、その瞬間的なものだけで、あとは何事もなかったかのように痛みが緩和します。
主な原因には姿勢不良や肩こり、首こりなどをはじめ、心身のストレス、気圧の変化、ホルモンバランスなど、さまざまなものが考えられます。
デスクワーク中心の方に多くみられる症状であり、近年ではスマートフォンを長く使用する方にも多くなっています。
また風邪などで体調を崩したときや、雨が降る前に症状が現れることもあります。
患部は温めるほうがよく、直接的なマッサージやツボ押しは逆効果になることがありますので注意しましょう。
頚性頭痛
頚性頭痛とは「頚性神経筋症候群(CNMS)」と呼ばれるもので、「首こり病」などと呼ばれることもあります。
首の筋肉が緊張することによって血流が低下し、首のこりを強く感じるようになることによって、頭痛やめまい、疲労、不眠などの不定愁訴が現れます。
原因として姿勢不良が考えられますが、椎間板ヘルニアなど首や背中の構造上の異変によって生じることもあります。
私たちの首は頭を支えており、頭の重さは体重の約一割程度であると言われます。50㎏の人であれば5㎏の頭を首が支えていることになり、姿勢によっては首に大きな負担をかけてしまっています。
その結果、首のこりを感じるようになり、頭痛にまで発展させてしまうどころか、自律神経の働くを悪くして、全身にさまざまな症状を発症させてしまうこともあります。
首を回すなどして緊張を解きほぐし、ホットパックやスチームタオルなどで温めることも効果的です。
くも膜下出血や頭部外傷など
くも膜下出血や頭部外傷などのように、脳の直接的な原因によって首頭痛を引き起こしてしまうことがあります。
これらが原因となって頭痛を生じさせている場合、頭が割れるほどの頭痛を感じたり、繰り返し嘔吐をするなど、すぐに対処が必要な症状が特徴となっています。
くも膜下出血とは、脳のくも膜下腔と呼ばれる部位に出血が生じている状態で、脳内の動脈が避けてしまうことによって、突然強い頭痛に襲われてしまいます。
男性よりも女性に多いとされており、高血圧や飲酒・喫煙習慣が発症させるリスクになると考えられています。
頭部外傷とは、頭に対して外部から直接的に力が加わって、脳に損傷をきたすことを指しています。脳内で出血してしまうことによって、激しい頭痛に襲われることもあり、重症化してしまうことも少なくありません。
バットで殴られたような強い頭痛を感じるような場合がみられた場合や呼びかけても反応が鈍いような場合には、すぐに医療機関に受診することが必要です。
ウイルスや細菌によるもの
ウイルスや細菌感染によっても首頭痛が生じることがあり、風邪やインフルエンザなどによる発熱が原因になることがあります。
そのほかにも髄膜炎と呼ばれる、脳を保護している髄膜と呼ばれる膜がウイルスや細菌に感染することによって炎症を引き起こしまい、頭痛が生じることもあります。
またウイルスや細菌が脳に直接感染することによって生じる脳炎を発症させてしまった場合においても、頭痛と共に発熱やけいれんを生じさせることがあります。
高熱を伴う激しい頭痛に襲われた場合には、すぐに医療機関に受診し、治療に取り組まねばなりません。
首頭痛の治療法や対処、予防について
首頭痛の治療法には、頭痛薬や漢方薬が中心となっており、自身でもツボ刺激やストレッチ、保冷や保温などで対処することもできます。
どのような場合にどのような対処をすべきなのかお伝えしていきましょう。
頭痛薬(鎮痛薬)、漢方薬の服用
頭痛の治療の中心は、頭痛薬(鎮痛薬)を服用することにあります。
頭痛が起きた時に市販薬を飲んでいるという方は多いでしょうし、頭痛持ちの方であれば薬を常備しているという方も少なくないでしょう。
痛みがかなり強くなってしまってから服用しても思うように治まってくれないことがありますので、頭痛の気配を感じたときに服用するとうまく抑えることができます。
ただし頭痛薬を服用し続けていると、だんだん効き目がなくなってしまうことがあります。また月15日以上服用しているような場合であれば、「薬物乱用性頭痛」といって頭痛を悪化させてしまうことがありますので注意が必要です。
後頭部や首の付け根などに痛みを伴う首頭痛の場合、病院では漢方薬が処方されることもあります。
「葛根湯(かっこんとう)」はこりを緩和させる作用がありますので、緊張性頭痛などの治療に効果が期待されています。また頭痛によって嘔吐や吐き気を伴う場合においては、「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」が治療に用いられることもあります。
ツボの刺激やストレッチ、マッサージなど
頭痛のタイプに応じたツボを刺激することによって、原因となっている筋肉の緊張などをほぐすことができ、頭痛を緩和させることが期待できます。
緊張性頭痛のように、後頭部や側頭部、首の付け根などのこりや痛みを伴う頭痛においては、頭頂部の「百会(ひゃくえ)」、首と髪の生え際にある「風池(ふうち)」や「天柱(てんちゅう)」などが効果的です。
片頭痛の場合においては、首周辺のツボを刺激することで症状を悪化させてしまうことがありますので、肘を曲げた際に現れる横ジワから指3本手首側にある「手三里(てさんり)」や人差し指と親指の間にある「合谷(ごうこく)」を刺激するといいでしょう。
首頭痛が起こりやすい方の中には、姿勢が悪かったり、デスクワークのパソコンなどで首を前傾にしていることが少なくありません。
そのような場合には、ストレッチやマッサージも効果的です。
肩をぐるぐる回すだけでも血流が改善して頭痛が起こりにくくなりますし、眉毛を指でマッサージするだけでも痛みが治まることもあります。
温める、冷やす
首頭痛が起きた際には、頭痛のタイプにあわせて温めることや冷やすことが効果的です。
後頭部から首の付け根あたりに生じる緊張性頭痛の場合であれば、温めることによって痛みを緩和させることができます。
ツボ刺激やマッサージに加えて、ホットパックやスチームタオルで温めることも効果的ですので試してみましょう。
こめかみなどに生じる片頭痛の場合であれば、温めてしまうと悪化してしまうことがあります。保冷剤などを用いて冷やすことによって頭痛を緩和させることができます。
また日常的にも入浴をうまく利用し、血液の循環をよくして日々の疲れを取るようにしましょう。体温を上げることによって、免疫力を高めることに繋がります。
ただし片頭痛が強い場合に入浴すると、痛みがさらに強くなってしまいますから注意しましょう。
首頭痛こんな症状の時はすぐに病院へ
首頭痛を含め、頭痛で病院にかかる目安として、市販薬や対処法などでも痛みがコントロールできないということであれば受診するようにしましょう。
また、以前は効果があった市販薬が効かなくなったり、薬を服用するとブツブツができるようになった場合においても医師に相談します。
まずは風邪を引いたときなどに利用する、かかりつけ医に相談してみます。
日常的な頭痛であれば、症状に応じた薬が処方されることになり、服用しながら様子を観るようにします。
あまりにひどい頭痛の場合には、頭痛の専門医を紹介していただきましょう。また病院やクリニックによっては頭痛外来が設けてあるところもありますので、気になる症状がある場合には利用してみるといいでしょう。
朝起きた瞬間から頭痛が始まる場合や嘔吐や吐き気を伴う場合、頭部に外傷を追った後に頭痛が起きる場合、殴られたような激しい痛みを伴う頭痛であれば、早期に受診が必要です。