手のひらの痛み~手首・指の痛みやしびれの原因や対処法について

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手のひらが痛い!原因を考える
「手のひらが痛い!」「手のひらがしびれる」といった症状に悩まれている方はとても多くなっています。
手首はとても精密な動きができるようになっていることが分かります。手首の可動域はとても広く、手指はかなり細かい作業まで可能になっています。
手には多くの関節が存在し、いくつもの神経が通っていることも知られています。
そのため、運動や事故、骨折などによって、痛みやしびれの原因となってしまうことがあります。
またその症状が手首が原因のものではなく、体や脳が原因によるものがありますので、決して軽視せずしっかりと原因を追求することが大事になります。
ここでは手のひらの痛みやしびれでもっとも一般的である「手根管症候群」について詳しくお伝えしていきます。
手根管症候群とは~手のしびれを引き起こす病気を知っていますか?
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とは、手のしびれを引き起こす病気で、手の痛みやしびれを感じる症状では、もっとも一般的な病気であると言えます。
手のひら側の親指から薬指にかけて痛みやしびれがみられるようになり、手を活用した後は痛みが大きくなることが特徴です。
病気が進行してしまうと、親指の付け根にある筋肉がやせ細ってしまいます。
手根管とは手首の神経と腱が通っている狭い管のことであり、この管が圧迫されてしまうことによって手のひらに痛みやしびれを生じさせるというものです。
この神経は正中神経(せいちゅうしんけい)と呼んでおり、手の感覚や筋肉に影響を与える大事な神経です。
突発的に発症することが多く、この神経が通っている手根管が狭くなり腱を圧迫してしまう原因は実のところよく分かっていません。
しかし女性に多く発症することが分かっており、しかも妊娠や出産期、更年期に多くみられることからホルモンバランスの乱れが原因ではないかと考えられています。
また仕事やスポーツなどで手首をよく活用する方にも多くみられる症状です。血液透析や関節リウマチ、手首の骨折などがきっかけで発症することもあります。
診断は手根管あたりを打腱器によって叩いてみて、指先に痛みやしびれなどがみられる場合には手根管症候群が疑われます。
MRI検査や節電図検査、神経伝導速度の低下などが確認されれば、手根管症候群と診断されることになります。
手根管症候群の治療
整形外科などで手根管症候群と診断された場合には、痛みをとめるために鎮痛剤や湿布が処方されることが多く、しびれに対するアプローチのためにビタミンB12によって治療に取り組んでいきます。
痛みを引き起こす直接的な原因を探り、手首に負担をかけているような動作を避けることが治療の前提となります。
スポーツや仕事、家事など、手首に負担をかけているような動作をしている場合には、過度に使用しないように努めます。
また場合によっては、負担を軽減できるように、シーネ固定を施し安静しておくこともあります。
どうしても痛みが治まらないようであれば、手根管内腱鞘内注射によって様子を観察することもあります。
それらの治療によって良くなることが多いのですが、良くならなかったり、親指の付け根にある筋肉がやせ細っていたり、腫瘤のあるものなどにおいては、手術が必要になる場合もあります。
リハビリテーションが有効となることも少なくありません。
手首の痛みに苦しんでいる人に

手首は私たちの日常生活において、使う頻度はとても多くありますので、痛みが生じた場合にはさまざまな行動に対して大きな影響を与えることになります。
近年ではスマートフォンを活用しすぎて、手首の痛みに悩まされている方がとても多くなっています。
もちろんスポーツをしている方でしたら手首を打撲したり、捻挫したりするようなことがあるでしょうし、仕事でパソコン作業をしているような方であっても、慢性的な手首の痛みに悩まされることもあるでしょう。
私たちの行動のひとつひとつには、手を使って行うものが少なくありませんから、痛みが生じるととても不快であり、症状によってはとても困ったものになります。
痛みも数日で軽減するようなものもありますが、慢性的なものやどんどん痛みが激しくなってしまうものもあります。
ここでは手首の痛みに苦しんでいる方のために、なぜ痛みが生じるのか、どのように対処すればいいのかお伝えしていきましょう。
手首の痛みはどこから来ていますか?
手首は使う頻度の高い関節であることから、痛みで悩んでいるという方は少なくありません。
特に近年では、スマートフォンの利用頻度の高い、若者世代で手首が痛いという症状に悩む方が増えていることが特徴です。
スマートフォンをみなさんはどのように活用しているでしょうか。
利き手の反対の手でスマートフォンを固定し、利き手の人差し指や中指などを利用することが多いでしょう。
また指で文字を入れるようなときには、指だけではなく手首を小刻みに動かして入力しているのではないでしょうか。
そのようなスマートフォン特有の動きを続けた場合、利き手の指と手首に大きな負担をかけてしまい、痛みが生じるようになることがとても多いのです。
もちろん、スポーツなどの外傷やパソコン作業など、手首を酷使することによって生じることも少なくありません。
その症状や痛みの生じる部位などによって、「腱鞘炎(けんしょうえん)」や「ドゥケルバン病」、「ばね指」などと呼ばれる病気に診断されることがあります。
いずれも指や手首の違和感や痛み、しびれなどが主な症状となります。
炎症がひどい場合には、アイシングによって冷やすようにして、動かさないようにテーピングで固定します。
回復がみられてきたら、少しずつ可動域を向上させる訓練をしたり、ストレッチに取り組むようになります。
手首が痛い場合の対処方法
お伝えしている通り、手首の痛みは手首を酷使して症状を引き起こしていることが多くなっています。
そのためまず一番に考えられる対処方法としては、負担をかけている行為から離れてしまうことが大事になります。
そして日常的な動作を振り返ってみて、原因となっている動作を見直すことが重要です。
スマートフォンやパソコンが原因だと考えられる場合には、手首を曲げたまま動作を行うのではなく、自然に伸ばして動作ができるように工夫しましょう。
仕事など、どうしてもやめることができない動作の場合であれば、手首に負担をかけないような姿勢をキープすることが大事なのです。
またどうしても手首を酷使しなければならない場合においては、定期的に手首のストレッチを行ってみたり、手首を冷やしてみるようにするのも対処法の一つになります。
もちろん腫れてきたり、熱感を持っていたり、痛みがどんどんひどくなってくるようでしたら、骨折を伴う痛みなのかもしれませんので、速やかに整形外科に受診して対処することが大切です。
放置しておいてひどくなってしまうと、場合によっては後遺症を残してしまうこともあるからです。
手首と姿勢の関係

手首はいくつかの骨によって関節が形成されており、筋肉によって支えられています。
私たちの手首や指はとても精密な動きができるようになっていますが、これは腱と呼ばれる紐状の組織があるからです。
しかし手首の姿勢が悪くなってしまうと、この腱の動きが圧迫されて動きにくくなってしまいます。
「手首の姿勢」というと馴染みがないかもしれませんが、不自然な姿勢で手を使っていると、手の痛みやしびれが生じるようになってしまうことがあるのです。
ただし手の痛みやしびれには、単に姿勢不良だけで生じるものではなく、命にかかわるような病気が隠れていることもありますので、注意が必要です。
手は骨、腱、腱鞘、神経で構成
手にはたくさんの骨があり、たくさんの関節があります。
これらの関節を上手く動かせているのは、手の全体に腱が張り巡らされているからです。
腱とは筋肉と骨を結び付けている組織であり、前腕の筋肉から伸びていて指先にまで通っており、腱を引っ張って指や手首を動かしているのです。
腱をスムーズに動かすために、腱鞘と呼ばれる鞘の中を通っていて、腱が骨から離れないような仕組みになっています。
また神経も手に張り巡らされており、手首から指先に伸びています。
そのため、腱にとって自然に動かすことができる、神経を圧迫しないような「姿勢」がとても重要になるのです。
このように手首は複雑に形成されていることから、不具合が生じると痛みやしびれを感じるようになってしまいます。
手のひらや手首に痛みやしびれを感じるような場合、冒頭からお伝えしている「手根管症候群」や「腱鞘炎」によるものが疑われます。
また関節リウマチのように関節の変形が認められるものや、脳卒中のように命に関わるような病気が隠れているような場合でも、同じように手のしびれや痛みを感じますから注意が必要です。
本当に怖い指の痛み

手のひらや手指、手首に痛みやしびれを感じるような場合、多くのケースにおいては「手根管症候群」や「腱鞘炎」ではありますが、症状によってはすぐに対処が必要なものもあります。
例えば、手だけではなく、腕が上がらなくなったり、全身のしびれ、言語障害などが生じているような場合には、脳卒中を引き起こしていることもあります。
脳卒中は、脳内に出血がみられていたり、脳の血管が詰まっているような状態で、脳の一部分が壊れてしまうことによって、しびれや痛み、麻痺を生じさせているのです。
また首の病気である、頸椎椎間板ヘルニアなどによっても、痛みやしびれの症状を引き起こしてしまいます。
頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨と骨にある椎間板と呼ばれる軟骨が潰れて外に出てしまい、周辺の神経を圧迫することによって痛みやしびれを生じさせてしまうというものです。
慢性的に手のしびれに悩まされることがあり、症状によっては手術をしなければならないこともあります。
また指の関節が変形してしまう変形性関節症や関節リウマチによっても、手のひらや手首に痛みを感じることがあります。
さらに糖尿病などでもしびれが生じることがあります。
このように手や指の痛みやしびれには、怖い病気も含まれていることがありますから、決して軽視するのではなく、必ず必要に応じて専門医に相談するようにしましょう。
指の痛みとしびれについて
指の痛みやしびれのもっとも一般的な疾患は、冒頭からお伝えしている「手根管症候群」によるものです。
手のひらにしびれ感を訴える方も多いのですが、特に親指から人差し指、中指、薬指に痛みやしびれ、感覚低下を感じることが多くみられます。
また発症は中高年女性に多くみられる特徴を持っています。
中高年女性に多い症状や原因
指の痛みやしびれの発症は女性に多く、もっとも割合が多いのは中高年の女性となっています。
中高年女性の患者を調べてみると、手首を酷使した仕事や手首の姿勢不良によって引き起こすことも多いのですが、原因がはっきりしない突発性のものも多くみられています。
出産前後の女性にも同じような症状で悩む方も多いことから、女性ホルモンのバランスの乱れによって引き起こされているのではないかと考えられています。
最初に中指からしびれを感じることが多く、次第に周辺の指にまで症状が広がっていくことが一般的となっています。
手のひら全体にしびれがあるように感じることもありますが、検査をしてみると小指側にしびれ感がなかったり、軽度であることが多いです。
夜間や明け方に痛みやしびれ感が強くなり、症状によって目が覚めてしまうことも少なくありません。
症状が強くなるとドアノブを回すことやボタンをかけることなど、日常的な細かな動作が難しくなってしまいます。
指の痛みとしびれに関するQ&A
Q:指の痛みとしびれがあるときには、どのような診断がされますか?
A:親指から薬指にかけてもしびれ感や感覚低下が起きていることによって、手根管症候群が疑われることになります。
重症度が高い場合には、親指付け根の筋肉が委縮しますので、観察対象となります。
また神経の圧迫障害を調べるために、打腱器によって手根管周辺の感覚を調べたり、簡単なストレッチによって障害度合いを確認したりすることもあります。
Q:指の痛みとしびれはどのような治療が行われますか?
A:基本的には保存療法に取り組むことになり、場合によっては装具を着用して安静を保つようにします。
同時に必要な薬剤が処方され、手首の手根管内に注射されることもあります。