ふくらはぎが痛い~主な原因や病気、対策について

Contents
ふくらはぎが痛い
「ふくらはぎが痛い…」
よく歩いた日にはそのように感じることも多く、身近に生じる痛みの一つではないでしょうか。
筋肉痛や疲れなど軽度の場合であれば、数日で痛みが治まるようなものも多いですが、日常生活に支障が出るような痛みが起こる場合や病気が隠れていることもあります。
軽度の場合で、それほど大きな支障がないとしても、痛みが生じている際には不快であるのは間違いありません。
病気が隠れている場合でしたら、すぐに病院を受診し、治療を始める必要があるような症状もあるのです。
ここではふくらはぎの痛みについて詳しく取り上げ、症状や原因、対処法などについても言及していきます。
ふくらはぎが痛い~主な原因と病気
ふくらはぎの痛みの原因は、ふくらはぎの筋肉に直接的な原因があるものや骨折によるもの、病気によるものなど、さまざまな原因が考えられます。
その原因によって現れる症状も異なってきます。どのようなものがあるのか解説していきましょう。
筋肉痛
激しい運動やスポーツをした次の日などに、ふくらはぎの筋肉痛を感じた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
特別、激しい運動などしていない場合においても、買い物などでよく歩いたり、作業などで重い荷物を運んだりしたような場合においても生じることもあります。
多くのケースではその当日に症状が現れることはなく、翌日以降に現れることがほとんどで、時間の経過とともに少しずつ緩和していくことが特徴です。
ふくらはぎは歩いているだけでも筋肉を活用していますので、筋肉痛が起こりやすい部位であると言えます。
特に普段から運動習慣のない方が急に歩いたり、運動したりするとふくらはぎの筋繊維を損傷させてしまい、筋肉痛を生じさせてしまうのです。
肉離れ
ふくらはぎの痛みにおいて、よくみられる症状のひとつに「肉離れ」があります。
肉離れとは、ふくらはぎの筋肉に対して部分断裂を起こしている状態であり、瞬発的な動作などによって筋肉が引き延ばされたような場合に起こしてしまいます。
筋肉の断裂ですから、断裂した「バチン」という音を感じることも多く、断裂した瞬間から痛みが生じ、力が入らなくなってしまいます。
ふくらはぎで肉離れを起こす部位は、下腿二頭筋と呼ばれるふくらはぎの内側部分であることが多く、安静にしていても完治することが難しいので治療を受けるようにしなければなりません。
こむら返り
肉離れとよく混同されてしまう症状に「こむら返り」があります。
「こむら」とはふくらはぎを指している言葉であり、ふくらはぎがつった状態のことを言います。
こむら返りはふくらはぎの筋肉が収縮しけいれんしている状態が続くことによって症状を引き起こしてしまいます。
多くのケースではスポーツや運動中に多く、準備体操不足や水分不足が原因であると考えられています。
また睡眠時など夜間に起こることもあり、脱水をはじめとして肝硬変や糖尿病などが隠れていることもありますので注意が必要です。
アキレス腱断裂
アキレス腱とは、足の踵部の上にある腱のことで、その腱が断裂した状態のことをアキレス腱断裂と呼んでいます。
断裂してしまうシーンには、急な運動や行動によって引き起こしてしまうことが多く、ダッシュやジャンプ、段差の踏み外しなどをきっかけに現れてしまいます。
断裂した瞬間にアキレス腱周辺に強い痛みを感じ、しばらくは痛みで歩くことができません。
足の関節は動かせますが、つま先立ちができないようになることが多くみられます。
ふくらはぎの痛み~別の原因や病気

ふくらはぎの痛みは、運動やスポーツなどがきっかけとなって生じることが多いのですが、中には別の原因や病気が引き金になっていることもあるので注意が必要です。
痛みに特徴がありますので、どのような病気があるのかご紹介していきましょう。
シンスプリント
シンスプリントとは「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」とも呼ばれているもので、すねにある骨膜が炎症を起こしている状態です。
シンスプリントを発症した場合にはふくらはぎの下側に痛みが生じることが多く、特に走りはじめなどの蹴りだす動作時に痛みを感じます。
運動後にじわじわ痛んでくる特徴があり、悪化すると動作中にでも痛みを感じるようになります。
次第に安静にしていても痛むようになりますから、早めに処置を受けておくことが必要になります。
下肢静脈瘤
下肢動脈瘤とは、ふくらはぎに流れる血管の中にある静脈弁が壊れてしまい、静脈がふくらはぎ上にボコボコ浮き上がってみえたり、痛み、こむら返りなどさまざまな症状が現れる病気です。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれることもあり、足に送られてきた血液をふくらはぎの筋肉によって送り出しています。
その際に、血液が逆流しないように、静脈に逆流を防止する静脈弁がついているのです。
しかし長時間の立ち仕事をしていたり、加齢による衰えなどによって、静脈弁が壊れてしまい、下肢動脈瘤を引き起こしてしまうことがあるのです。
閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症とは、足の血管が細くなってしまったために血流が悪くなってしまい、歩行時にふくらはぎのしびれを感じたり、痛みを感じたり、冷え性に悩まされたりします。
血管が細くなってしまう原因は、動脈硬化が進んでいるためであり、進行してしまうと動作時だけではなく安静時にも痛みやしびれが現れます。
動脈硬化とはコレステロールなどが動脈に蓄積して血管に弾力性がなくなってしまって、血液中の酸素や栄養が不足している状態です。
そのまま放置していると、ふくらはぎの痛みだけではなく、命にかかわるような大きな病気を引き起こすこともありますので注意が必要です。
日常生活での原因と治療法

ふくらはぎの痛みは冒頭からお伝えしている通り、日常生活の中に原因があるものばかりです。
中にはスポーツ後の筋肉痛のように、数日安静にしておけば改善するような軽度のものもあり、ほとんどの症状はそれほど心配する必要のないものばかりです。
ただしふくらはぎの痛みは、そもそもが血管に原因があるものですから、軽視し過ぎることはよくありません。
つまりふくらはぎの痛みはひとつの症状であって、別に大きな病気が隠れていることもあるということなのです。
どのようなきっかけによって生じたものであるにしろ、早めに受診することが大切です。
スポーツや運動後によるものであっても、長引く場合や歩行など日常生活に支障が出ている場合においても受診が必要です。
単なる筋肉痛と思っていても、実は肉離れを起こしているようなことがあるかもしれませんし、別の病気が隠れている可能性も考えられます。
そのため、受診時にはどのようなきっかけで痛みが生じたのか、どのくらい痛みが続いているのか、痛みの程度はどれくらいなのかといった内容を詳しく伝えるようにしましょう。
ふくらはぎの痛みが筋肉痛によるものでしたら、湿布薬を処方されることが多く、痛みの程度によっては鎮痛剤が処方されることもあります。
肉離れなど、筋肉などの組織が断裂を起こしているような場合であれば、患部を固定し安静が必要な場合があります。
ふくらはぎの痛み~まずは筋肉痛の対策をしましょう!
スポーツや運動をした次の日などに、ふくらはぎに筋肉痛が起こることがあります。
特にふくらはぎは運動時によく活用していますので、筋肉痛を引き起こしやすい部位であると言えるでしょう。
症状が筋肉痛である場合には、ふくらはぎの筋繊維が炎症を起こしていることが考えられますので、痛みに悩まされているのであれば適切に対処することが必要となります。
ここでは、ふくらはぎの痛みで多くみられる症状である筋肉痛の対策についてお伝えしていきましょう。
筋肉痛の原因
ふくらはぎが筋肉痛になる原因は、ふくらはぎの筋肉が過度に収縮してしまい、炎症が生じて痛みを生じさせてしまうことにあります。
ひさしぶりに運動した後など、翌日や数日後に筋肉痛が起こった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
これは遅発性筋肉痛と呼ばれるもので、いわゆる一般的な筋肉痛であると言えます。
従来では、筋肉痛の原因は運動後に筋肉に蓄積する乳酸が原因であると言われておりました。
そのため「乳酸は疲労物質」であるという考え方が一般的だったのですが、近年の研究データによってこの考え方は否定されるようになりました。
現在においては、運動によってふくらはぎの筋肉の線維を傷つけていることによる炎症であるという考え方が一般的となりました。
ふくらはぎは下腿三頭筋、腓腹筋、ヒラメ筋の3種類の筋肉で構成されており、ダッシュやジャンプなどに対応する強い収縮力を持っています。
その半面、疲れがたまりやすい部位でもありますので、ひさしぶりの運動であれば筋肉痛を起こしやすくなるのです。
また運動習慣がある方であっても、これらの筋肉に負担をかけ続けていると、こむら返りや肉離れなどを引き起こす原因となってしまいます。
回復のメカニズム
現在のふくらはぎの筋肉痛は筋肉の炎症によって引き起こされていると考えていますので、その炎症が治まるにつれて筋肉痛の症状も軽減してくると考えられます。
傷ついた筋肉の線維は、栄養をもとにして少しずつ回復していくことが知られています。
しかも回復する際に筋肉が成長することも知られており、そのメカニズムを超回復と呼ばれることがあります。
そのため筋肉痛を早く回復したいのであれば、必要な栄養素をしっかりと摂ることが回復させる方法のひとつであると言えるでしょう。
筋肉痛を治す方法
- 十分な休息
- ストレッチ
- マッサージ
- 湿布
上記でもお伝えしている通り、筋肉痛は筋繊維に炎症を起こしていることが原因です。
そのため適切に対処しないと、さらに筋肉に損傷を与えてしまうことや、肉離れなど別の症状を引き起こす原因となってしまいます。
ここでは筋肉痛の改善のために知っておきたい対処法についてお伝えしていきます。
十分な休息
筋肉痛はある意味、筋肉が疲労を起こしていて、悲鳴をあげていると捉えるといいでしょう。
悲鳴をあげている間に休息を取ることによって、疲労を回復させ筋肉を成長させることができます。
痛みが生じたのであれば、長くとも2~3日の間には少しずつ回復してきます。
回復の状態をみながら、動かしていくといいでしょう。
ストレッチ
筋肉をいつも以上に活用すると、筋肉を硬直させてしまい血流を低下させていることがあります。
そのような場合には、ふくらはぎを伸ばすようにすることによって、血流を改善させることができます。
ただし痛みがあるので無理に伸ばそうとすると、筋肉を損傷してしまうことがありますので、状態に応じて行うようにしましょう。
マッサージ
炎症が少し治まった頃であれば、お風呂で温めるなどしてマッサージすると効果的です。
筋肉の緊張を開放することができますし、ふくらはぎの血流を改善させることができます。
ただし痛みがある間にマッサージしてしまうと、かえって炎症がひどくなることがありますので、痛みが強い間は休息を取るようにしましょう。
湿布
ふくらはぎが炎症を起こしている間は、筋肉に熱感を感じることもあります。
そのような場合には、湿布を貼ったり、冷やしたりすることで症状を抑えることができます。
ただし、ある程度回復がみられたら冷やすのではなく、血流を改善させるための湿布を活用するようにすればいいでしょう。
病気やけがによるふくらはぎの痛みには
ふくらはぎの痛みが、筋肉痛のように一時的なものでなく、病気やけがによるものの場合、適切な対応をしておかないとさらに悪化したり、重大な病気を引き起こすことになってしまう可能性があります。
ふくらはぎの痛みが生じる主な病気やけがには、肉離れや下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症などがあります。
このような痛みに対しては、適切な処置が必要となりますが、ふくらはぎの痛みの原因にはさまざまなものがありますので、症状に適した専門医を受診することが大切です。
肉離れであれば整形外科が適切ですし、下肢静脈瘤であれば血管外科、形成外科、近年では静脈瘤を専門にしたクリニックもあります。
ただふくらはぎの痛みだけで、どのような病気なのか分からない場合には、まず整形外科を受診してみて、原因を調べてもらうといいでしょう。
ふくらはぎを緩めて活力を高めましょう
ふくらはぎを緩めることによって、疲労を回復させ、血流を改善することによって冷えやむくみを改善させることが期待できます。
特に、運動やスポーツでふくらはぎに疲れを感じているような状態のときには、お風呂で温めながらストレッチやマッサージが効果的です。
ふくらはぎは第二の心臓などと呼ばれることもあり、血流を促進させる役割を持っています。
血流を促進させると、疲労物質や老廃物を流して除去することができ、ふくらはぎの筋肉痛を起こしにくくすることができるのです。
また女性の場合であれば、冷え性やむくみで悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
これも原因は血流が悪くなっていることにありますが、そのままにしておくと足のだるさが取れずに慢性化してしまうこともあるのです。
ストレッチやマッサージによって筋肉を少し動かしてやるだけでも、冷えやむくみを解消させることが期待できます。